梅雨が明け、本格的に夏を迎えたオベリン保育園の園庭。
その片隅には春に最後の土交換をしたカブトムシのケースがありました。
「先生、ケースの中にカブトムシがいるように見えるよ?」
ケースの事を気に掛けていた子どもたちから、こんな報告がありました。
ということで、早速みんなでケースを開けてみることにしました。
ケースを開けていくと、土の上にはオスの成虫が出てきていました。
「すごい!おとなになった!」「ツノがあるからオスだ!」
「私にも見せて!」
子どもたちは大興奮。ケースの周りはあっという間に人だかりになりました。
お世話をしていた子どもたちは、まだ成虫が出てきていないケースが気になる様子。
「見てもいいかな」「まだ幼虫だったらどうしよう」
心配しながらケースを調べると、蛹室(幼虫が蛹になるための空間)の中で成虫を発見!
「どうしてまだ出てこないのかな?」「まだ眠いんじゃない?」想像を膨らませる子どもたち。
蛹から成虫になっても、身体の一部や中身が出来上がってないことを説明すると
「まだそっとしておいた方がいいよね」と、話し合っていました。
更に土を掘ると、成虫以外にも不思議な物体が見つかりました。
茶色くて薄くて、ちょっと気持ちが悪い物。それは蛹の抜け殻でした。
「これ、お腹と同じ模様してる」「洋服みたいだね」「どうやって脱いだんだろう」
蛹の形跡を見つけ、土の中で見ることのできなかったその姿を想像していました。
ケースの中には、蛹になれずに力尽きてしまった幼虫の死体もありました。
「かわいそう」「どうして蛹になれなかったの?」「
子どもたちなりに理由を考えてみました。
「ごはんが足りなかったのかな」「みんなで触りすぎちゃったのかな」
成虫に出会えた喜びから一転、自然界の厳しさに触れて少し寂しそうでした。
大人になったカブトムシに何が必要?と尋ねると
「ゼリー!」「ケースに木を入れよう」「葉っぱも入れたい」と案が出てきました。
保育園に初めてカブトムシがやってきてから三回目の夏。
子どもたち自身も、カブトムシの生態や触り方が分かるようになってきました。
家庭でもカブトムシを飼育しているという話も聞き、嬉しく思っています。
「ぼくもゼリーあげたい」「またタマゴ生まれるかな?」
今年の夏も、小さな命たちから様々なことを感じ取ってもらえるよう活動したいと思います。
オベリン保育園 加藤純平