5月のある日のこと、昨年作った観察用の梅干しを見ている子どもが「今年も作りたいね」と話したことをきっかけに、ぞう組で話し合いが始まりました。
みんなに去年の梅干しを見せると、「梅干しだ」「去年梅おにぎりとか、イワシの梅煮おいしかったよね」と話が盛り上がりました。
保育者が「「おいしかったよね」と頷くと「また、梅おにぎり食べたい!」と一人の子が呟きました。「確かに」「ゆかりおにぎりも食べたい」とみんなも頷きました。でも…。
「これ、足りないんじゃない?」
乳児クラス、幼児クラス、先生…。みんなが給食で食べるには量が足りないということに気が付きました。そして、どうしても梅おにぎりが食べたい子どもたちは、自分たちで梅干しを作ることにしました。
「保育者がみんな作れるの?」と驚くと「きりん組の時に作ったから、作り方覚えてるよ」と子どもたちは胸を張って言いました。梅干しの絵本で作る時期や作り方を確認。
「布巾と…瓶と…」と必要な材料を挙げていきます。そのほとんどが保育園にあることに気が付きました。
「梅と赤シソは無いね」
「じゃあ梅育てなきゃ」と子どもたちは張り切りますが、絵本には梅の花が咲く時期は3月と書いてありました。3月はもう過ぎたから、梅はすぐには作れないと知りました。仕方がないので、梅は給食職員に頼んで用意してもらうことにしました。
次は赤シソです。「優佳さん(給食職員)にお願いする?」「梅をお願いするから、大変になっちゃう」「自分たちで見つけて来ようか」と一人のお友だちがシソを摘んでこようと提案しました。すると、「近くの公園にあったよ」と目撃情報があがりました。
保育者がそれは誰のシソ?と尋ねると「公園とかみんなの」「ってことは採っちゃダメかも」
公園や自然が大好きな子どもたちは、自然の植物が生えている場所や、誰かが大事に育てている場合があること、みんなのもので採ってはいけない植物があることをよく知っています。
じゃあ、誰のなら採っていいのかなと保育者が投げかけると子どもたちはハッとしました。「自分たちのなら採っていい!自分たちで育てよう!」
去年の観察用梅干しのケースに「作った月は6月」とラベルが貼ってあり、絵本には赤シソを入れるのは7月とありました。まだ間に合うかもしれない。子どもたちは自分たちでシソを栽培することにしました。
去年の活動が年度の区切りで終わらず、今年の活動へと繋がっていきそうです。経験したこと、感じたことを思い出しながら力を合わせ、”梅おにぎり”に向かって活動する子どもたちを側で見守っていきたいと思います。次回は種まき。どのように進んでいくかとても楽しみです。
YMCAオベリン保育園 荒井